金井喜久子さんという女性をご存じですか?
日本人女性で初めて交響曲を作られた方です。
不思議なめぐりあわせから、このところ、金井喜久子さんの『琉球の民謡』という本がバイブルのようになっています。
私がまだ生まれる20年近く前に作られたこの本には、今の私が知りたいと思っていることがギュッと詰まっています。
「続きは、よろしくね」
そうバトンを渡されたような気がしてならない……そんな勝手な運命を感じ、iPadと三線を持って張り切っています。
金井喜久子さんの「惚れ込み」と熱量~勝手に受け取ったバトン
こんなに楽譜が残っていたなんて!
琉球古典・民謡・童謡をピアノでアレンジして楽譜にする、という挑戦を始めて調べていくうちに、驚いています。
そのお一人が金井喜久子さん。
作者どころか、タイトルさえハッキリしない童謡も、きれいに楽譜になっていました。
ただ、歌三線の歌と三線それぞれの単音の楽譜のみなので、これだけではまだピアノで演奏するのは難しい状況です。
でも、工工四という三線独特の楽譜よりは、かなり手がかりになります。
工工四と行き来しつつ眺めると、ずっと作業も理解も早くなり、とてもありがたいです。
金井喜久子さんは『琉球の民謡』の中で、次のように書かれています。
私は、丁度画家がデッサンから、その絵筆をかためなおすような気持ちで、採譜に手をつけました。それが、かた手間仕事でかたづけられる程のなまやさしいものではなく、並々ならぬ苦労の伴う難事業であることは、すぐに思い知らされましたが、とにかく、これに取りかかってから、二ヶ年余の間に仕上げた手始めの成果として、先ず、本書を世に問うことに致しました。
レコーダーもそれほど手軽なものではなかった時代、そして、まだ沖縄がそれほど注目されていなかった時代に、しかも琉球古典の世界ではないところから、女性が研究することの難しさを思うと、涙がこぼれました。
「それでも、残したい」
きっとその一心だったのだと思います。
世界の曲を演奏してきたからこそ、自分の生まれ島にありながらまだ知られていない宝ものに気づかれたのではと感じました。
「残して下さり、ありがとうございます」
ページをめくるたびに、心でつぶやいています。
琉球・沖縄ピアノアレンジ研究所のメンバーとして加わって下さった佐々木世寿さん(ピアニスト)も、ちょうど同じ時期に金井喜久子さんの楽譜・本との出会いがあったそうで、金井さんがつないでくださったご縁なのではと勝手に感じています。

目の前にある山に怖気づくことなく、しなやかに進んで行く力。
私が、ウチナーンチュに感じているパワーが、金井さんの言葉からはあふれています。
語りだしたら止まらないので、また少しずつ。
ラジオでもお話していますので、よろしければお聴き下さい。
あした、転機になぁれ!
