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ナーベーラー(へちま)ンブシーを哲学する

ナーベーラーンブシーの哲学

「コロナのお蔭」のひとつが……料理の時間が増えて、自信がついたことでした。
苦手、ではなくまずは「練習不足」。
これは、まさにピアノも同じでした。

「何度も作って、研究すること」

恩師である松本嘉代子先生(松本料理学院 院長)の言葉を、しみじみ実感。 そんなコロナ禍の紀々ねぇさんの琉球料理奮闘記をお届けします。

人気の「ナーベーラーンブシー」になりました!~紀々ねぇさんの十八番

夏は、葉野菜があまり手に入らないので「ナーベーラー(へちま)の出番!」
沖縄の夏を救ってくれる頼もしい島野菜メンバーです。
なのに、ゴーヤーの全国進出に比べると圧倒的に認知度の低い「ナーベーラー」。

こんなに美味しいのに、ね?
どうやらそこには、いくつかの誤解があるようでした。

ナーベーラーの誤解 その1

まずは……見た目。
えぇ、まちがいなく「映えません」。
たしかに、かな~り地味です。
鮮やかでも華やかでもないナーベーラーンブシー。

でもね、 「キミの魅力は見た目じゃないから、気にするな!」
そう声をかけたい気持ちでいっぱいになります。

もしも、色鮮やかなグリーンのナーベーラーンブシーがあったら、それはまだ味クーター(味がしっかりしみている状態)ではないはず。

美味しさは、見た目じゃないのよ。
そう語りかけてくれる貴重な存在。
「大切なものは目に見えない」という言葉を、ぜひ思い出して味わってほしい……それが、ナーベーラーンブシーです。

ナーベーラーの誤解 その2

おいしいナーベーラーンブシーに出会えていない!

「ナーベーラーンブシーはちょっと……」という県外の方々のお話を聞くと、多くの場合、おいしいナーベーラーンブシーに出会えていないことがわかりました。
これは、どの食べものでも共通ですね!
あ、人も同じかも!?

食わず嫌いではないけれど、1回だけしか食わず嫌いさん。
これは切ないですし、もったいない!

松本先生のナーベーラーンブシーに出合った方々が驚いていたのが、 「こんなにおいしいナーベーラーンブシーは初めて!」 ということ。
驚きの向こうには、もうひとつ「そもそものナーベーラーへの期待度」が関わっていると思います。

食堂や居酒屋でも定番ではあるのですが、「美味しいと感動するメニューか?」と聞かれると…… 「そういうジャンルではない」 という期待度が多いのでは?

私も「夏は、ゴーヤーとナーベーラーとシブイくらいしかなくなっちゃうからね」というイメージで、「仕方ない感」がありました。 (本当にゴメンね、ナーベーラーさん)

「ナーベーラーンブシーへの期待度を上げたい!」 まずはここからと……張り切っております!

ナーベーラーの誤解 その3

実はけっこう手間をかけて仕上げる。
パパっと長めに炒める、と思われているケースが意外と多い気がします。
だから、味がしみていなかったりまだ硬かったりして……残念な仕上がりに。

意外に思われるかもしれませんが、ナーベーラーは美味しくなるのに時間が必要なのです。 時間と愛情をかけてクツクツ……そして、絶品になるのでした!!

「どぅー汁(ドゥージル)」という魔法のエキスがトロリと出てきて、それはそれは、美味なのでゴザイマス。
あぁ、あなたにも食べてもらいたい~!!

おまけの誤解

ヘチマはタワシになるものでは? 食べるものだったの??

はい、私もそう思っていました。
ところが。
沖縄のンブシーになるナーベーラー(へちま)と、タワシになるものは種類がちがうそうです。

つまり、放っておいたらタワシになる!ということは……ないようですよ。
でも、古くしなびているナーベーラーは、ちょっとタワシっぽい感じになります(笑)。

どぅー汁のこと

ナーベーラーをクツクツ煮る時に、欠かせない存在が「どぅーじる」です。
読みを文字にすると……「Do汁」!?(笑)
ぜひ、覚えて頂きたいウチナーの知恵。
何といっても、ミステリアスな響きでしょ?

あ、解説しなくては。
「どぅ」は=自分の・自らといった意味です。
つまり、素材自身から出るおいしい汁ということ。
これは、最初からは出ません。
人生と同じで……あるていど時間をかけたところで、ようやく出て来る貴重な味わい。

決して慌てずに、ゆっくりクツクツ楽しみに待ちましょう。
それはもう……「やさしい味」になります。
ホッとして、島豆腐のフルフルと一緒にやさしさがしみわたる感じ。
味噌の癒し効果と合わさって、泣いちゃいそうなくらい。
そんな「やさしい一品」です。

あ~、お腹がすいてきちゃいました。

ナーベーラーの魅力を知ってほしい!

正直に言うと、ナーベーラーの魅力をお伝えしたくて……「りうぼう」で試食販売させてもらいたい!!そんな気持ちです。 (実は、リウボウストアの研修を担当していた時代に、実演販売も担当していました)

松本先生が、いつもおっしゃっていることがあります。
「レシピだけでは作れないから。まずは、味を覚えてほしいの」

その点からすると、そういうお店はなかなかない気がします。
いつか「やさしい味」を食べてもらえる食堂とコラボできたらいいな、とこっそり思っています。
(あ、言ってしまいました 笑)

ぜひ、あなたにも「どぅー汁」パワーに出会って頂けますように。

松本嘉代子先生と紀々

松本嘉代子先生の発売記念トークイベントにて@ジュンク堂書店 那覇店

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