Q.ピアノコンクールで緊張してしまい、いつも通りに弾けません。どうしたらメンタルを鍛えられるでしょうか?

Q.ピアノコンクールで緊張してしまい、いつも通りに弾けません。どうしたらメンタルを鍛えられるでしょうか?

 電波堂劇場には、ピアノコンクールの本番前の練習に来て下さる方も多いそうです。(今は、コンクールも中止や延期になってしまっているそうですが)

 ピアノコンクールに出た経験はないそうですが、紀々ねぇさん自身も、初舞台から40年近く、様々な舞台に立ってきた経験の持ち主。

 メンタルトレーニングの大切さを感じているそうです。

 今日は、ピアノコンクールや受験など大事な本番を控える方々から届く「定番のお悩み」について、紀々ねぇさんからのエールをお届けします。
 
 それでは、はじまり・はじまり。

 ☆ ウチナーグチ「あんすぐとぅ」の解説は、こちら。

紀々ねぇさんに届く「ピアノの本番前の緊張とメンタルの弱さ」についてのお悩み

 舞台に立つ人は、みんな堂々としているように見えます。
 でも、思った以上にみなさん緊張には悩んでいるのですね。

 ピアノコンクールの日。
 いつもはウーマクー(わんぱく)な子どもさんでも、本番の前は口数が少なくなっていたり、表情はクールに見える方でも、お見送りの時に「紀々さんと話してホッとしました」という言葉から緊張されていたことがわかることもあります。

 これまで、本格的に舞台に立つようになって30年、多くのプロの演奏家の方々と共演の機会を頂いてきたのですが「緊張しない人」はゼロでした。

 講演やライブの時に頂く質問にも「人前で緊張しない方法」については多いので、緊張に悩む方は本当にたくさんいると思います。

 私が、メンタルトレーニングで力になれたらと考えるきっかけになりました。

 プロのピアニストでも……そうなのですね。

 ところで、紀々ねぇさんは?

紀々ねぇさんの「緊張とメンタルの弱さ」

 それはそれは……長年にわたり緊張に悩んできたエキスパートです!

 ひどく悩むことはなくなりましたが、今でも本番では緊張します。

 指先が冷たくなるので、終演後に握手を求められた時には「手が冷たくてごめんなさい」とお伝えするようにしています。

 何度か驚かれたことがあったので(笑)。

 20代前半までは本当に苦しかったです。

・本番一ヶ月前からは、緊張で食欲が少しずつなくなる(用意していた衣装がブカブカになるほど)
・本番当日は、ほとんど食べない(今でも、本番前はあまり食べられません)
・神経性の腸炎や胃炎で救急外来へ行く事態も何度か

大まかなところでは、こんな感じ。

 かなりの重症……ですよね?

 「とてもそうは見えない、と言われます。舞台裏に関わっている人だけが知っている、衝撃の事実(笑)」

 だそうです。

 ホントに、ビックリ!!
 私だけじゃないと思うと、少し安心しました。

♪舞台では、緊張しているようには見えないですよね。

メンタルトレーニングとは?~緊張と向き合ってみる

 それが、私が一番伝えたいこと。

 「あなただけじゃない」です!!!

 あと、緊張することは決して悪ではないと私は思っています。

 その舞台を大切に思っているからこそ、失敗したくないと思って緊張する。
 より良いパフォーマンスをと目指しているからこそ、緊張する。

 これはとても大事なこと、素晴らしいことですよね。

 あともう一つ、私が自分に伝えていることがあって……

 「よかったですね!人間だったという証です。サイボーグじゃなかった!」

 あはは。
 それはホントに、そうですね!

 ピアノ好きさんのためのメンタルトレーニングは、どんな感じなのでしょうか?

 ピアノ好きさんから相談を頂いた時にお届けしている「定番の問いかけ」を預かってきました。

 早速、お届けします!

「緊張は悪いことなのか?」~筋肉ムキムキにならないメンタルトレーニング

 メンタルトレーニングといっても、筋肉ムキムキになるような「鍛える」イメージとはちがうようです。

 身体でも「体幹」と呼ばれるように「心幹」をしっかりさせること。

 そんなイメージだそうです。

 「そもそも」から考えることが、哲学。

 緊張=悪、だからなくさなくちゃ!と思っている人が多いと感じたので、まずはココから一緒に考えてみるとどうかなと思いました。

 すると、緊張で何が問題なのかが具体的に見えてきます。

 ピアノの場合、例えば「指先が冷たくなって動きにくくなる」「顔がこわばってしまう」「暗譜が飛んでしまう」「テンポが速くなる」「休符が短くなってしまう」など。 

 あと、私の場合はピアノを弾くほかにトークも入るので「早口になる」「自然な流れになりにくい」「呼吸がしにくくなる」なども加わります。

 「緊張=悪」というザックリしたものではなく、こうして具体的に眺めてみると……ちょっと感覚が変わりませんか?

 たしかに。

 緊張に飲み込まれた感覚からちょっと抜け出して、「緊張している自分」が客観的に見える気がします。

「自分は、緊張するとこうなりがちだ」ということを意識するだけでも、ずい分と変わると思いますよ。

 「緊張しないようにしなくちゃ」よりも「早口になりがちだから、落ち着いて話すように気を付けよう」の方が、気持ちも軽くなりませんか?

 怖がるのでも、闘うのでもなく……「向き合う」

 これが、紀々ねぇさんのおススメだそうです

「その緊張は、どこからくる?」~メンタルを弱めているものを探そう

 これも「根っこ」を探す問いかけです。 

 ネガティブな感情は、無理やりかき消すよりも「丁寧に向き合ってみる」ほうが効果的だと思います。
 意外なところに根っこが見つかって、一緒にビックリすることもよくあります。

 例えば……

 「恥をかきたくない」「下手だと思われたくない」「カッコよく見せたい」といった欲張りやカッコつけの感情があることはよくあります。
 つまり、外側の環境よりは「自分の内側の感情」に根っこがあるケース。
 
 この場合は「過去と他人は変えられない」ので「アシタ(明日)とアタシ(私)を変えるために何ができるのか?」に目を向けて考えてみるのがオススメです。

 「自分は無理だ」という自己肯定感が低いのが根っこにあることも。
 
 その時は「無理だと思う理由」を一緒に眺めてみます。
 
 十代の生徒さんに、こんな質問をしたことがありました。

 「それは無理なのかな? それとも、無理だと思い込んでいることなのかな?」

 するとすぐに「思い込んでる!」と答えが返ってきて、そこからポジティブにスイッチが切り替わり感激しました。

 たった一つの問いかけで視点が変わり、風景が変わり、気持ちが変わって行動が変わる。

 この流れが転機につながると感じています。

 「練習不足」というある意味ではハッキリしている根っこもありました。
 「練習不足」の場合は、やるべきことはシンプルですね。

 あと「人がたくさんいる時に緊張する」というお悩みの時は「何人から緊張しますか?」「どんな人がいると緊張しますか?」という問いかけも。

 とにかく「ハッキリさせていく」。

 そうすると、モヤモヤが少しずつ晴れて気持ちも晴れの方向に近づいていきます。

 「緊張しないように!」と目を閉じて呪文のようにつぶやいてしまう私ですが、それだと何もハッキリしませんね。

 ハッとしました。  

「緊張はなくなるの?」~メンタルを鍛える方法とは?

 「本番に強くなるには?」そして、そのために「メンタルを鍛えるには?」という質問は、けっこう多いです。

 舞台に立つ私の姿を見て下さっての質問なので、どうやら私がメンタルに強いと思われているようです。
 
 一言でお伝えするとしたら……「自分と向き合うこと」。

 それに尽きます。

 緊張は、外からは来ないから。
 内側と向き合うしかないと思っています。

 私の緊張は、なくなったわけではありません。
 でも、変わってきました。

 緊張しても、崩れなくなった。

 これが大きいです。

 緊張しても、パフォーマンスに悪影響が出なければOKとする。

 ある時から、そう決めました。

 そうすると、緊張してもお客さまに影響が出るようなことはほとんど起こらなくなりました。
 今、私が緊張していないように見られる理由は、多分ココにあります。

 十代の頃は、次の出番に向けて舞台袖で待っている時に緊張で頭の中が真っ白になって、「自分が今、終わってここにいるのかこれから出るためにここにいるのか」がわからなくなることもありました。

 前に演奏している人の曲が頭から離れなくて、自分の弾く曲が思い出せなくなったり、緊張ですご~く速く弾いてしまってあっという間に終わったり。  

 冷や汗ストーリーは数知れず(笑)。

 でも、自分と向き合うようになってから、緊張に振り回されることはなくなりました。

 なんとカッコイイ!

 30年というキャリアも大きいですね。
 それにしても、紀々ねぇさんもあんなに緊張していたなんて意外です。

 「メンタルを強くする」についての紀々ねぇさんの動画も、どうぞ。

ピアノコンクールの結果に左右されないメンタルの強さをもつために

 電波堂劇場には、ピアノコンクールに挑戦する方々も多くいらっしゃるとか。

 紀々ねぇさんはコンクール会場には行けないので、やっぱり結果はわからないのですか?

 電波堂劇場があるので、残念ながらコンクール会場には行けないのですが、コンクールが終わって結果を知らせて頂くこともよくあります。

 もちろん、結果もそれぞれ。

 でも、いつもお伝えしていることがあります。

 「元気に本番を迎えられたことに、おめでとうを伝えさせて下さい」

 手をケガしたり風邪をひいたりすることなく、本番に出られること。

 これは、実はスゴイことなのです。

 電波堂劇場にいると、沢山の方々にお会いします。

 ピアノコンクールでの目指す結果に向けて、心身ともにギリギリまで頑張っているのはみんな同じ。

 その中で、ご自身の体調不良や家族に思いがけない事情が起きたりして、本番に出られなくなってしまうケースもあります。

 だからこそ、本番を迎えられることは当たり前ではないと、強く思うのです。

 どんな結果だとしても、きっと「未来にとってはプラスの結果」。

 舞台経験を重ねてきて、そう気づきました。

 振り返ってみた時に、悔しかった経験がプラスになることはよくあります。

 私の場合、舞台に立つ人の緊張や悔しさや不安がわかるようになったのも、みんな「あの日の経験」があったお蔭だから。

 結果はどちらでも「ゴールに向けて精一杯挑戦した」ことが一番大事。

 そうお伝えすると、子どもさんがコンクールに出場されるお母さんが、涙を浮かべられることが何度かありました。
 結果だけにとらわれてしまって、気持ちが苦しくなっていたそうです。

 ホッとする。

 それだけで、緊張のコントロールはうまく行きやすいと感じます。

 みんな頑張っているのは同じ。
 本当にそうですね。

 私まで、涙が出てしまいそうです。

 あ~、みんなに金賞をあげたいなぁ~。

 最後に、メンタルの鍛え方についてアドバイスありませんか?

これからのメンタルの強さ~「しあわせ」と「心強さ」

 ピアノコンクールに挑戦された方から受賞のニュースが届いた時に、「あの時の紀々さんの言葉のお蔭です」とおっしゃって頂くことがあるそうです。

 どんな言葉だったのでしょうか?

「ピアノが弾けるしあわせを、心の真ん中に置いてみて」

 高いレベルを目指す時、つい階段の一段目を飛ばしてしまいがち。
 
 「どのくらい弾けるかどうか」の前に「弾けるしあわせ」をいつも忘れずにいること。

 それだけで、本番の恐怖感はかなりなくなるはずです。

 「上を見て行かなくちゃ」とつい思いがちですよね。

 一段目は、たしかに目標が高くなるほど忘れがちな気がします。 

「ピアノと友だちになって」

 難しい曲になればなるほど、ついピアノを思うように操ろうとしてしまいがち。
 格闘する感覚、私もわかります。

 でも、大切なことはねじ伏せることではなく「友だちになること」。

 ピアノの力も借りて、一緒に音楽をつくっていくのだと思えた時に、気持ちが変わりました。

 「これから弾かせてもらいます。どうかよろしくね」とひと声かける。

 そうすると、舞台には一人しかいなくても、ピアノも一緒にいてくれるという心強さが生まれます。

 それだけでも、心のゆとりが変わると思います。

 これは、まさに紀々ねぇさんの「不思議ちゃん」感覚とも通じますね

 「弾けるしあわせ」と「ピアノが一緒にいる心強さ」。

 これは、ピアノ以外にもつながる気がします。

 「あした急に変われるというものではないけれど、丁寧に向き合っていくことで必ず変わっていきます」

 とのことでした。

 紀々ねぇさんならではのメンタルトレーニング、ピアノ好きさんのヒントとなれたら私たちも幸せです。

 電波堂劇場のピアノも一緒に、応援しています。

 また時々お届けしますね。

 過去と他人は変えられないけれど、アシタ(明日)とアタシ(私)は変えられる。
 あした、転機になぁれ!

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