気づいて下さっている方、いるでしょうか?
紀々ねぇさんの動画、背景がちょっとだけ変わりました。(かなりマイナーチェンジですが)
正解は、こちら!
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レザーカービングのバッグを飾ってみました。
もちろん、作者はレザークラフト職人である紀々ねぇさん母!
何かで背景のキズを隠せないかと思い、バッグに登場してもらったそうです。
若い方々を中心にレザーカービングは静かなブームになっているのですが、その技術を身に着けるまでの道のりはとても長く……ベテランの職人さんは少なく高齢ということもあり、なかなか磨き抜かれたカービングの技と作品に出合う機会は少ないのも現実。
「いつかゆっくりお届けしたいと思っていた」シリーズのひとつとのことで、紀々ねぇさんがご案内いたします!
レザーカービングってどんなもの?
カービングと言うと、フルーツカービングやソープカービングなど「彫刻」のイメージを持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか? (私も、彫る=彫刻刀を使うイメージでした)
レザーカービングの場合、たしかに「彫る」という表現はするのですが、彫刻刀を使ってのそれとはちがうようです。
まずは、力作コレクションをお届けします!(ほんの一部です)




まだまだ魅力的なメンバー(バッグ・財布・アクセサリーなど)はたくさんなのですが、日が暮れてしまってはいけないので……また少しずつご紹介しますね。
スベスベになめされた牛革に革用のカッターで切り込み線を引き、そのフチを工具でコンコンコンコンと打って凹ませていきます。(詳しい工程は、電子本でご覧下さい。こちらのページからダウンロードできます。)

すると、あ~ら不思議!
立体的になるのです。
と言うととても簡単に聞こえますが、この工具は3~5ミリくらいの幅!!!
もう、それはそれは気が遠くなるような作業です。
「だからね、バンバン売るほどはとても作れないのよ」
と、職人さんはみんな口をそろえます。
紀々ねぇさんはカービングは出来ないのですが、十代の頃から、かがりや磨きの作業は手伝ってきたのでお手のもの。
私たちの場合はすべて「手縫い」で、特にレースかがりという手法は編みこむようにかがるためとても手間ひまがかかり、手作業でしか出来ません。
レース糸そのものも高価なので、市販のバッグなどにはなかなか使われないため珍しがられます。
先に工具で穴をあけて、レース糸を通していきます。


カービングの作業中は、コンコンコンコン……と何日も何日も続くので、ご近所からは
「工事はまだ終わらないの?」
と聞かれることもあるのだそう。
ここで少し、カービングの作業現場をどうぞ。
職人さんたちは、ご自身が出ることはNGだそうで(もうおばあちゃんだから、と気にされていました)……手元だけ。
でも、デパートで販売する時には切ない想いもあったそうです。
型押しで一回でバンと仕上げていると思われて「高いわね~!」と言われてしまったこと。
それだけ、手作業のカービングの作品はなかなか売られていない証ですね。
カービング財布の色のひみつ
レザーカービングのバッグやお財布は、染色しない、または淡い茶系が多いのが不思議でした。
世の中にはピンク系のラブリーなお財布も人気なのに……カービングはなぜカラフルではないのでしょうか?
素朴なギモンを投げかけたところ、始まってしまいました。
紀々ねぇさんの力説タ~イム!!
レザーカービングは、出来上がった直後よりも時間がたつうちにだんだん陰影が出て、カービングの醍醐味が楽しめます。(経年変化/エイジングと呼ばれます)
濃い色にしてしまうと、せっかくの陰影が見えにくくなってしまうのです。
それはもったいなくて、革が泣いちゃいます!!
かといって、染色なしだと……お財布のように手でよく触るアイテムは汚れも目立ってしまいます。
なので、薄く茶系に色を入れて思いきり使ってもらえるようにしています。レザー好きさんは染色なしを好む理由も、ここにあります。男性の中にはお財布をお尻のポケットに入れる方もいますが、染色なしのヌメ革は熱と湿気で変色してしまうので、おススメしていません。
チェーンを付けてほしいというオーダーを頂いたことがありましたが、お財布の未来についてお伝えしてお断りしたところ、ご理解頂き「カバンに入れて使います」とおっしゃって頂きました。作るにも使うにも、革の特長を理解する。
レザーカービングは、それも含めて楽しんで下さる方向けの贅沢と言えるかもしれません。
その中でも、染色なしのカービングは上級者向けのハイエンド!革好きさんの「革への愛情トーク」を聞かせてもらうと、本当にワクワクうれしくなります。
うふふ、ここもオタクの世界。
なるほど、紀々ねぇさんが大好きな理由がわかりました。
年月を重ねると……経年変化(エイジング)で、同じ染色なしのレザーカービングのバッグがこんな風に変わります。取っ手も本体もくったり、持つ人にやさしく馴染みます。

職人さんのレザーカービングへの「愛情と病気」のこと
レザーカービングのアイテムは、とにかく手間ひまかけて作られています。
「でも、一番かかっているのは愛情!」
と紀々ねぇさん。
こんなに手間ひまかかるのに、(しかも材料費もかなり値上がりしてしまったそうです)みなさんがコツコツ続けているのは……
「好きだから」
そこまでやらなくてもいいのに、と思ってしまうほどのこだわり!
紀々ねぇさんは「こだわりを通り過ぎて、もはや病気!(笑)」と呼んでいます。
この「一病息災」のお蔭で、職人さんは元気なのだと気づいたそうです。
レザーでちょっと肘が痛いことなどはあるようですが、70歳を超えても元気。
みなさんの作品を使わせてもらうことで、その元気にも「あやかりたい」。
と語ってくれました。
最後にたどり着くのがレザーカービング
紀々ねぇさんのお母さんもそうですが、レザーカービングを長くやっている方は「色々な趣味を持っていたけれど最後にたどり着いたのがカービングだった」とおっしゃる方も多いのだとか。
飽きないのよね~、とのこと。
それくらい奥が深いレザーカービングの世界。
手法も道具も様々。
唐草から始まり→お花(特にバラは柔らかさを出すのは高い技術!)→最後はフィギュアと呼ばれる人物や動物と、カービングのモチーフも奥が深いそうです。
「写真を見ただけでエネルギーが伝わってきました!」と龍のカービングのお財布にネットでご注文頂いたのも、愛情と技術が伝わったからだと思う。
きっとそう!
写真を撮った紀々ねぇさんも興奮気味でした。
こちらです!

「龍のカービングのお財布が届いてから、昇進しました!」といったうれしいニュースも届いたとか。
カービングのアイテムをカッコよく飾って下さっている写真を頂き、その幸せそうな姿に感動したことも。
ツヤ感からも幸せが伝わってきますね~!

眺めても楽しめるレザーカービングは、使えるアート作品。
紀々ねぇさんは、そう感じているそうです。
会ったことのない方々がこうしてつながっていく不思議。
ステキです。
メンテナンスしながら永く使っていく、レザーカービングの魅力
お母さんから娘さん、そしてお孫さんへ。
そんな風にみなさんで使って下さることもあるそうです。
丈夫なレザーならではですね!
そういう方は丁寧に使って下さっていて、「使い方」も受け継がれていると感じるのだとか。
モノと丁寧に向き合うことは、自分自身と丁寧に向き合うことにつながっている。
紀々ねぇさんの口ぐせです。
「だって、心は目に見えないし触れないでしょ。だから、レザーカービングのバッグやお財布のメンテナンスをしながら、自分の気持ちとも向き合うと……ちょうどいいと思っています。」
とのこと。
レザーのエイジング(経年変化)という価値観に出合ってから、年齢を重ねることにもネガティブ感がグッと小さくなりました。
と語る紀々ねぇさん。
「40代のファッションに迷ったらレザーがオススメな理由」も、あわせてどうぞ。
ユーザーさんが来て下さった時には、一緒にお手入れしながらお話する時間が「まさにカウンセリング!」と喜ばれているそうです。
気持ちも軽くなって、お財布もツヤツヤになって……一石二鳥!
紀々ねぇさんはこの時間を、
ゆんたく(ウチナーグチで「おしゃべり」) × クラフト =ゆんたくらふと
と名づけました。ゆんたくらふと風景は、動画で。
レザーカービング&レザークラフトと楽譜のお店「紀々ねぇさんのウェブショップ」
レザーカービングの世界へご案内する小冊子(お客さまへプレゼントしていました)の電子本をつくりました。無料で差し上げますので、下記ページからお持ち帰り下さい。
一点ずつの作品のため掲載が追いついていないのですが、オンラインショップも張り切って準備中です。よろしければご覧下さい。
お問い合わせも、お気軽にどうぞ。
☆ 紀々の店
インスタグラムでは、レザーカービングとメッセージをお届けしています。
お問い合わせは、こちらへ。
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